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Dr.AKI の書棚

私が読んだ本を紹介するね。厳選してるから読んでみて。ここから買いにいけるからね。

「海辺のカフカ」村上春樹著。1680円。

そう、有名な彼の小説。実は彼の本を読むのは初めてなんだ。彼は私と同い年なので、そういう観点から読んでいた。面白いじゃん。とは言っても次に買った本は直木賞の別の本であった。彼が世界的な高評価を受けている理由はわかるようなわからないような、って感じ。

「サムライスピリット」神田ロム(漢字が出ない)著。幻冬舎。1365円。

あまり期待しないで読み始めた。おーまいごっど的に良い本であった。若い連中や人生や仕事に悩んでいる人は是非とも読むべきだろう。私は非常に心打たれたよ。この男はたいしたもんだ。こういうやつがいるなら、日本もまだ大丈夫だろう。

「憚りながら」元後藤組組長。後藤忠政。宝島。

すげーーーー面白かった。実名の出ている暴露本的。いろいろ知らない世界の事を知って面白かった。この人、人物的に大きいね。皆、読むといいよ。知らない世界だ。なお、印税は全部寄付するんだそうだ。昔、やくざ、今坊さんだもんね。

「初陣ー隠蔽操作3.5」今野敏著。新潮社。1575円。

このシリーズのうちの1冊が何か賞をとっていたと思う。それで去年読んだんだ。本屋に寄ったら続編的にこれがあったので買った。今回は面白くて読みながらニタニタしていた。内容が面白いからニタニタではなくて、警察と言うか警察と言う組織の思考方法が、あまりにも一般世界、民間から乖離しているので苦笑いなのだ。これじゃお互い理解しあえるわけもないなと思う訳。いまだに薩長だ、東大が幅をきかせているあたりも驚いてしまう訳。私にはまったくついていけないなあ。若い時築地警察署に入らなくってよかった。一度行ったら歓迎されちゃってさ、親切にされたんだよね。私は警察とか自衛隊とか入りたいと思った時期があるわけ。だけど、この連中の出世の世界観なんて何か違うんだよなあ。っていうようなわけだが、面白いから読むといいよ。

「沈まぬ太陽」

ご存知山崎豊子女史の有名作品であるが、先日映画を借りてみた。やはり、小説にはかなわない。いくら渡辺謙が頑張っても文字にはかなわないね。仕方なし。読んだ時のショック度と見たときのショック度が違いすぎる。やはり、小説を読むべきだろうなあ。嫌なら映画でもいいけど。あれ見て思ったよ。日航があのザマになったのもむべなるかなってね。いろんな奴に食い放題にされたなれの果てって感じで、真面目にあそこで働いてきた人たちをかわいそうだと思う。

チャーリー中山の投資哲学と堀内昭利の相場戦陣訓

長尾数馬が編集している。一番苦労してまとめたのは長尾かも知れんね。やっと6月17日販売だ。

チャーリーの話は面白い。言いたい放題って感じ。私のは、恐ろしく真面目。だからつまらんかもよ。でもいいんだ。これで言いたいことは全て書いた。もう説教もしないよ。つまらなかったら、1時間で10万円儲かる本でも読んだら?

ってなわけで、チャーリーが表に出てくることはもう二度とないし、私もそういう気持ちは失せている。この歳になって、相場があればいいのであって、目立ちたいなどとは全く思っていないからね。ま、そういうわけだ。シャンシャン。

「秋月黒田藩第14代城主ー黒田長榮」

小田豊二。麗澤大学出版会。1575円。聞き書きという珍しいスタイルの本。そう、黒田官兵衛の子孫ね。昔なら殿様、若殿である黒田氏の生き方、考え方が述べられている。なかなか良い本である。若い連中!読んだらええで!

「脱藩大名の戊辰戦争」中村彰彦著。

中公新書。700円くらい。上総請西藩主、林忠嵩の生涯。うーむ。この藩は、木更津辺りみたいだ、小藩である。なんとも哀れを誘う話で、かわいそうになってしまったのだが、94歳、昭和16年に永眠した最後の大名となっている。徳川家崩壊の流れで、紀州、尾張、彦根三藩の徳川家への背反行為を非難して最後まで戦った。つまり、徳川家再興のために決起したただ一人の脱藩大名。

このために彼は名誉回復、林家再興におそろしく長い期間苦労を重ねる。今でもあの地域では林様として慕われているのだそうだ。結束が強いのだろう。新聞記者に、現在において当時のことを思うと如何な感想が浮かびますかと聞かれて、「琴となり下駄となるのも桐の運」と答えている。健康法と聞かれて、「浮世は一夢の如し」と答えている。一人の大名の数奇の人生として、たんたんとして読むことを勧めたい。

  「滄海よ眠れ 1―ミッドウェー海戦の生と死「記録ミッドウェー海戦澤地久枝著。うーーん、押し入れにしまってあるはずだなあ。びっくり。中古で7000円もする。後者は13000円だ。彼女の本は多数読んでいる。全て残してあるはずなんだ。文庫本はそれほど高価になっていないから、探して買うといい。彼女が深夜便に出ていたので話を聞いていた。すごいよなあ、日米の参加者ほぼ全員とコンタクトして10年以上かけて書いたのかな。確か。驚いたのが厚生省の話。日本軍人の戦死者数を聞いてもそういう記録はないからわからないと返事をもらったそうだが、それで彼女が正確な日米の戦死者数まで調べ上げるんだけど、思ったよ、この国って本当に人の命を粗末に扱うよね。いったいなんだってんだ、と感じる。生き残った日本軍人の多くが敗戦を隠すために一か所に集められて一番危ない戦地に送り込まれるんだよ。すごく感銘を受けた本なので是非読んでもらいたい。
「トリックベイビー」ブルースインターアクションズ。1985円。

1年前の出版。何かの書評で☆5個もついていたので読んだのだが、うーん、5個ねえ。って感じ。詐欺師のコンビの話で1973年に映画化されている。1967年の出版。良かったものだけここに書くのだが、☆5個だもんなあ。新聞の書評を探してもう一度読んでみたら面白さがわかるかも知れない。映画のほうが面白いかもしれない。

「ポチの告白」

友人が送ってくれたDVDをこれから見ないとならないのだが、この映画は知る人ぞ知るって感じでマスコミは皆避けているんだそうだ。だから皆知らない。説明が載っているけど、この監督、根性あるなあ。これは、襟を正して観賞せんとならないようだ。

DVDの紹介HP

「幸田文 しつけ帖」幸田文著、青木玉編集。

平凡社。1680円。編集は彼女の娘。若い人は知らないだろうが、私が中学高校の頃、幸田文の随筆が国語の試験や教科書なんかに出ていたんだよ。きれいな随筆を書く人だなあとは思っていた。それでこの本の紹介があったので買った。彼女の父上は、かの幸田露伴。最初の頃は私が生まれる前の話だし、文章についていけなかったが、それが途中から1960年代頃に移っていく。古い話もそれで納得ができる。皆が皆、読んで理解できるかどうかわからないけど、露伴の父親としての愛情がよくわかる。タイトルにも父親のしつけは、娘に贈る一生もの。と書かれている。全体に流れているのは、日本の心、日本の文化、って感じかな。

「動かぬが勝ち」佐江衆一著。

新潮社。1575円。これも何かの書評で絶賛されていた。著者はすでに75歳であるが、まだ活躍しているようだ。数々の賞をとってきている。私はあまり知らなかった。この本は、江戸時代の短編集って感じ。心残る話が多く、7つの短編。読みやすいし、一読を勧めたい。

「誰も国境を知らない」西牟田靖著。情報センター出版局。1785円。

彼の本は2冊目だが、期待して読んだ。期待通りの作である。5年の歳月をかけた丁寧な取材にもとづいている。日本人に国境を考えさせる力作である。

この本に出てくる国境とは、北方領土、沖ノ鳥島、竹島、対馬、硫黄島、小笠原諸島、与那国島、尖閣諸島である。私の知らない事実も多く、目を開かせてくれた。是非とも多くの人に読んでもらって、日本国のことを再考してもらいたい。読み応えがあり、厚い割にはスイスイと読める。

「親鸞」五木寛之著。講談社。1575円。

上下巻。実は五木氏の本を読むのは初めて。ラジオ深夜便でよく聴いていたし、青春の門のドラマはよく見たから親近感はあった。なかなかすごい人であるが、この親鸞、評判がえらく高いので気になって読んだのである。日本は宗教が弱いから自殺者が多いと思っているのだが、宗教観のない人も入りやすいから読むといい。流刑までで終わっているのだが、続きを読みたいと言う人がたくさん出てきたら書いてみたいと著者は語っていた。なんかわかるような気がする。望まれると筆は進むからね。

「ドル亡き後の世界」副島隆彦著。祥伝社。1680円。

うちのお客が読んでくれと、寄越したので読んだ。私は碁石のあだ名のある親友チャーリーしか、白黒をはっきりさせる男はいないと思っていたが、他にもそんな日本人がまだいたんだ、というのが驚き。煽りまくるものは好まないのであるが、このくらい煽らないと印象に残らないのも事実だから仕方あるまい。彼の語っていることは本筋ではあっていると思う。いつ、そうなる、ということはちょっと受け入れにくい。時間軸は神の領域だと思う。なるほど、ここまではっきり書くなら、ファンも増えるはずだね。読み応えがあるし、面白いと思うから、一読を勧める。

「達人に訊け」ビートたけし。新潮社。1260円。

彼の初期のころから彼の本は読んできている。彼が頭脳明晰でよく勉強しているのは本を読んできていればよくわかる。だから彼が世界の北野になっても別に驚かなかったよ。いろんな達人が登場するのだが、虫、宇宙、麻雀、字幕、数学、日本語、寄生虫、香り、競馬、金型プレスという達人たちが登場し、インタビュー形式になっている。すごく面白く、読み応えがある。是非とも一読し、達人たちの思考を知ると良いだろう。お勧めの著である。

「必中の急降下」海軍爆撃機戦譜。渡辺洋二著。文春文庫。600円。

面白いから是非お読みくださいと寄越された。参るなあ、なんて頭をかきながら、内心ニコニコしている自分がいる。

作者は私とあまり歳に違いがない。中国戦線に投入した九四艦爆から九六艦爆、そのあとは太平洋に投入された九九艦爆、彗星とくる。真珠湾の後、インド洋に向かってコロンボ近辺で英海軍と戦うのだが、このときの索敵、偵察の甘さがすでに出ていて、その後のミッドウェーの予兆があらわれていたのには驚いた。爆撃機の戦死率は高い。いろいろ勉強になるから一読を勧めたい。

「チャイナアズナンバーワン」関志雄著。東洋経済。1890円。どうも出版社と言うのは、目だ立たせようとしてあまり意味のないタイトルにしたがるものだ。私の友人の友人の著で読んでもらいたいと言われて贈呈された。

タイトルとは違って、私は久しぶりに勉強をした気分となった。今の中国の変貌は激しいが、グラフや資料を駆使してよく説明されている。最近の中国の金融経済状況を知るにはもってこいの著だろう。最後に日本に向けての提言がされているが、これがなかなか良かった。今や中国に負けないくらいの社会主義国と言われている日本であるが、彼の書いているような事が実現できないようでは将来は暗いままであろう。一読を勧めたい。

「奇跡のラーメン店はどのように誕生したか」永福町、大勝軒。草村賢治著。旭屋出版。1575円。

80歳の店主は今でも店に立つ。友人がここのラーメンを時々プレゼントしてくれていたので馴染みはあった。昔、店に行ったのだが、行列で諦めたことがある。

私がガキの頃に開店している。店と土産で1000杯を一日で売る。1050円もするのだが、2杯分らしい。どこでもラーメンと餃子とライスということになるが、店主はラーメンで腹いっぱいになってほしいのだと。この店主の生きざまをみると、努力、精進、発想、勤労、サービス、プロ、そういったものを全て感じ取れる。店を出したい人だけでなく、経営者皆が読むといいと思う。全ての原点があると思う。池袋の同名店とは違うようだ。http://eifuku-taishouken.com/

地元の柿生のいつもいくラーメン屋のおやじにこの本を持って行ってやろう。それにしても黒川にある大勝軒は同名にも関わらず、最低の味だが、いったいあのラーメン屋はなんだ?うちの若いのは、一口食べて、通販の尾道ラーメンのほうがうまいとつぶやいたのである。まずいラーメンは許されない。

「日本のこころの教育」境野勝悟著。致知出版。1260円。

8年前に出版されて、現在13版。この人が宮沢賢治の故郷の花巻の高校で講演したものを題材としている。日教組必読の本。

日本→日の元の国。太陽を敬う国。国旗の日の丸の誕生の歴史なんて知らなかったのだけど、今回初めて知った。私が知らなかったのだから若い連中が知っているわけもないね。外国文化を学ぶのは良いが、日本人はもっと日本文化、日本のことを学ばなければならない。もっと、日本人としてのアイデンティティーを自覚しなさい、というような話。まことに日本人として当然ながらわきまえなければならないことであるが、若い人たちにも必読の本と言えよう。著者は親こそ先に読んでほしいと書いているけどね。私は背筋を伸ばしたのである。

「大本営参謀の情報戦記」情報なき国家の悲劇。堀栄三著。文芸春秋。

名著である。できたら文庫本でなくハードカバーで読みたい。初版は1996年だが、何かの書評でえらくほめていたので買い置きしておいたと思う。

現在の日本にもまさにあてはまる話で、これはもう国民性ではないかと思わせる。大本営作戦課の会合に情報参謀は参加してないんだよね。海軍も同じ。戦後のアメリカの分析でも日本の情報に対する甘ちゃんぶりが敗因の一因としてあげられている。007はやはり英米なんだなあ、と思わせる。後半に行けば行くほど深みのある本として光ってくる。それにしてもアメリカは大正10年にすでに太平洋の飛び石作戦を立案していたとは、もうまさに驚き。名著なので、日本男児全員読むべし。情報戦略を日本男子ができないなら、大和なでしこに任せた方がいいのではないか?衝撃の本であった。

「きよのさんと歩く江戸六百里」金森敦子著。バジリコ。1900円。

江戸時代の鶴岡の豪商の奥さんが書いた旅日記。女性の書いた旅日記というのは非常に珍しいのだそうだ。しかも、勝手気ままに書いているのも珍しいとのこと。

鶴岡ー日光ー江戸ー三島ー名古屋ー伊勢ー奈良ー大阪ー京都ー福井ー金沢ー富山ー新潟を巡る旅。108日に及ぶリッチな女性の旅。驚いたのが、1845年にすでに年刊ガイドブック旅鏡なんてものまで発売されていたことだ。関所、女郎、食べ物、いろいろ盛りだくさんで当時の状況が非常にわかりやすく解説されている。自分の地元が当時どんな状態だったのかわかって面白い。この方面に興味のある人には一読を勧めたい。時代劇はいつも侍中心だが、民衆も元気だったのだ。

「この写真がすごい」大竹昭子編著。1985円。朝日出版。
何かの書評でほめてあったので気になって買っておいた。100枚の写真。撮影した人の名前は終わりに全て出ている。彼女の評ほどの感じを受けないと、うーむ、俺は写真を見る才能がないのかなあ、なんて落ち込んだりする。ただ、彼女は写真は見る人それぞれの見方があるから彼女のコメントはあくまで彼女が受けた印象だと述べている。変わった写真が多いから、感受性が強い人は読むと良いだろう。
「父の詫び状」向田邦子著。文春文庫。530円。
彼女のエッセイは好きなのだが、読んでいるうちに、私は、テレビドラマの多くを思い出していた。そして、久世光彦氏(富山出身)の存在感の大きさを思い知ったのである。この二人の共同作業みたいなものが、あの優れたドラマを多く輩出したのだと思う。そういうことを頭に描きながらこの本を読むのが良いだろう。
「向田邦子の恋文」向田和子著、新潮文庫、362円。
そう、私は向田邦子の大ファンなのである。彼女の作品のドラマは全部観てきている。そして、あの何とも言えない味が大好きである。彼女が飛行機事故で亡くなった時のこともよく覚えている。

ある女優がこの本の事を書いていたので、すぐに買った。温かさの中に残るせつなさと書いている。彼女の秘められた恋のことが書かれている。「誰かさんみたいに、こなくても平気だよ、なんて、ひどいことはいわないもん」彼の方は、「邦子はコタツで横になって満足そう。ふっと可哀想にもなったりする」

彼女の恋は悲しい結末を迎えるのだが。いやー、こんなかわいい女いないなあ、と思うのだ。この本には彼女の生前の写真が何枚か出ている。なるほど、辛い恋や家庭環境からあのようなエッセイや書が書かれたのだな、とすごく納得する。これを読んで、さらに向田邦子ファンになってしまった。ちなみにこの女優は、胸が苦しくなると結んでいる。よく、わかる。あまり繊細でないひとは読んでもわからないかも知れない。彼女のファンには必読書だろう。

「先生、どうやってヤセたんですか?」ワック。山田春木著。857円。ラジオを聴いていたら、この先生が語っていたわけ。それで常識を忘れなさいとか、中高年と若い人と男女と皆それぞれ異なるダイエットをしなさい的な話だった。お、俺は中高年と思って、すぐに本屋で買った。違う観点から書かれたダイエット本、というか、おなかがへこむやり方的なことが書かれている。中高年は読むと良いだろう。そういえば、覚せい剤でそんなにやせられるなら、それを俺のお医者さんも少量処方してくれんかね。
「のぼうの城」和田竜著。小学館。1575円。
本屋大賞第2位ということで以前から気にはしていた小説だ。石田三成軍2万に2千で立ち向かった話であるが、確かに面白い。気晴らしに読むには最適の本と言えよう。半分くらい史実に沿っているようだ。気分が面白くない時に読むことを勧める。満員電車の中で読んでいれば、時間を忘れさせてくれそうだよ。
隠蔽捜査ー今野敏著ー新潮社1680円。
飛行機の中で読もうと思って本屋であさった。吉川英治文学新人賞をとった作品だ。よくまあ、警察内部の事を調べて書いている。これの続編の隠蔽捜査(2)も何か賞をとっていた。実は2のほうがもっと面白い。だが、1を読んだから2がすごく光るわけで、これを読まないといかんでしょ。久しぶりに時間を忘れて読めたよ。面白かった。隠蔽捜査(1)(2)(3)
「捕虜」学研文庫1300円。パウル・カレル著。畔上司訳。
最初の訳本が出たのが1986年。これは2007年出版の文庫本で650ページもある。できたらハードカバーの方を探したほうが良いと思う。訳が良いので読みやすい。

まず、私は戦争の類の書物をたくさん読んできているが、欧州戦線のことには全く興味がなく、知らなかったことが多い。そして、今回、その無知を大いに感ずることになった。これほどの反戦記があるのだろうか?しかも、捕虜と言う視点で戦争を語るのはすごい手法で、しかも事実に即して描かれている。

日本は英米相手の戦争で実に幸運であったと思う。戦後、ドイツ人捕虜は何と1100万人である。何百万人も死んでいる。拷問、強制労働、飢餓、大脱走、復讐、なんでもござれである。誰も書かなかった第二次大戦ドイツ人虜囚の末路。我々が学んできたのはいかにドイツがユダヤを迫害したか、ヒトラーがいかに残忍か、の話ばかりであった。だが、それを上回る地獄をドイツ人捕虜たちは経験した。しかも、私が生まれた1949年にやっと大多数の捕虜が解放された。最後の捕虜帰還は1956年である。

一番良い待遇を受けた捕虜はイギリスにつかまった連中、次がアメリカ。イギリスほどジュネーブ協定をきちんと守った国はない。なるほど、英米が日本軍の捕虜処遇に対して厳しく糾弾したのもわからないではない。ところが、ユーゴスラビア辺りで捕まったドイツ人は地獄絵図を見せられた。何がパルチザンだ、チトーは英雄だと思う。教科書にはいいことしか書かれていなかった。だが、あれほどの残虐集団はなく、なるほど、クロアチアだセルビアだといまだに争いが続いているのもよく理解ができる。この箇所を読むのが一番しんどかった。

中立国であったスゥエーデンなど逃げてきたドイツ兵たちをロシアを恐れてロシアに引き渡した。ひどいのはロシア赤軍につかまった捕虜たちである。ところが、やっと日本兵のシベリア抑留などの話が理解できたのだ。ロシアは貧しく、国民全部が飢えているような状況だったのである。1944年地点でドイツに捕まったロシア人捕虜も500万人でそのうち200万人が死亡、100万人が行方不明という有様。ドイツも実は困ったのである。飢餓といってもあまりの大量の捕虜の数に対応できなかったのである。だから、どっちもどっちとも言える。ロシアに捕まったドイツ兵たちも辛酸をなめさせられ、多数が死んでいる。

西独政府捕虜史委員会の報告をもとに書かれている。この本のことを書きだしたらとても収まらない。私は頭を殴られたような心境である。日本男児は全員この本を読むべきであろう。

「なぜ、君は絶望と闘えたのかー本村洋の3300日」新潮社。1365円。門田隆将著。
そう、ご存じの例の光市母子殺害事件。書評で評価が高かったので読んだ。買ってからしばらく放置していた。今は裁判員制度のこともあるし、司法のことを詳しく知らないとならないような時代になった。ドラエモンポケット弁護団、正義を貫いた検察。いろいろわかる。それにしても、彼はすごいね。たいしたものだ。皆が読むべき本だろう。
「大激震」堺屋太一著。実業の日本。1680円。
タイトルは気に入らない。こういうタイトルで人の目を誘うのは好まない。内容は◎。もともと堺屋氏のことを私は大変に尊敬しており、彼の講義を日本の大学で受けてみたいと思っているくらいである。目からウロコ的な発想が多く、あの年齢になってもそれが衰えていないことに感服する。非常に読みやすいし、わかりやすいし、ためになるから一読を勧めたい。それにしても、彼の本がそんなに英訳されて海外に出ているとは知らなかった。今こそ、明治維新的な大改革を、このサブタイトルの方をタイトルにすればいいのに。
夢をかなえるゾウ(飛鳥新社)1680円。水野敬也著。
ご存じ、2008年のベストセラーだ。150万部突破というすごいものだ。実は、ドラマを先に見ていたんだよね。すごくおもしろかったのであるが、それで本屋に積んであったので買った。若い人に先に読ませていたので私が読むのは遅くなった。

これ、読んだ人、実行しておるかね?私はこれから赤ペンをもって2度目を読もうと思っているが、若い世代必読の本と言えよう。ガタガタ愚痴言ってないで黙って読んで即実行せよ、って感じ。すごくためになるので、全国の高校生、大学生に読ませるべし。さすれば、我らが日本も良い国になるであろう。

「なぜグローバリゼーションで豊かになれないのか」北野一著。ダイヤモンド。1890円。
友人に贈られたので読んだ。最初の三分の一はえらくつまらない。公式だとか変なグラフみたいのを見せられると私は頭が痛くなってアクビしてしまうのだ。ところが、我慢して通読していたら、半ばあたりからやっと面白くなってきた。よくあるんだよ、いい本って最初はつまらない。後半は著者が何を言わんとしているのかやっとわかった次第。こっちの脳みその程度にもよるのであるが。なかなか優れた分析だと思う。問題はこの手の本に多いのだが、これは今回の危機の前に執筆されているようなので、現在の状況を聞いてみたくなるのだ。
『駅路』は、定年やターニング・ポイントなどの時に訪れる人生の“駅路”をテーマにしたミステリーの名作。人はなぜ生きるのか。そしてその人生の終着点に近づいた時果たして何を思うのか。物語の終盤でさりげなく語られる主人公の言葉は、それらの問いかけに一つの答えを与えてくれる。
「江戸の下半身事情」永井義男著。祥伝社。
ちょっと、そこの兄さん、エロい事考えてるんだろ。この本、新聞の書評に載っていたんだよ。その辺、私はめざといから逃さなかったわけね。女性は変な顔するだろうが、男の脳みそはそうなっているので宜しく。この本、注文しようと見たら定価798円なのに1300円とか1600円になっているわけ。だから、古い本だと思った。そしたら、驚いたなあ、10月に出版されて今月第3版発行となっている。買い占められているのかなあ。私が購入したのは奄美大島の古物商だよ。永久保存版なんて書いてあった。そんな大げさなと思うけど。この本は、江戸時代のエロ考証から、当時の文化、歴史などを学ぶという感じの本。男性必見だね。江戸時代は、時代劇であの当時の懐古趣味があるけど、きれいごとばかり言ってるなよ、裏はこんなだよ、ってことが書かれているね。私は、当時の日本人のたくましさみたいのを感じたよ。
「渥美清の肘突きー人生ほど素敵なショーはない」福田陽一郎著。岩波書店。2500円。
最初の1−2ページ読んだだけで、良い本にめぐり合ったと思った。文章がきれいで頭にすっと入ってくる。題名はミスだと思う。人生ほどが主題で渥美清のほうを副題にすべきだったのではないかと思った。この福田という人はその世界では有名な人らしいのだが、私はあまり知らなかった。彼が手がけたものを知ってわかった次第。どういう人かというと、一言で言うと、三谷幸喜の大先輩っていうところ。50歳以上の人は読むといい。読むべきとは書かない。読んだら楽しく、思い出にひたれるよ、って感じ。値段が高いが、払ってもおつりが来るくらい良い本だった。渥美清のことも時々触れているんだけど、ますます寅さんが好きになるね。お勧めの本だ。
父子鷹(上・下) 子母沢 寛 講談社文庫
篤姫の人気が高いが、勝海舟が最近よく出てくる。私は勝海舟を非常に尊敬しているのであるが、ガキの頃、テレビで父子鷹をやっていたんだ。すごく良かったので、本も読んだ。ものすごく感銘を受けた本で是非とも読んでもらいたい。勝海舟があのようになったのは父親の慈しみのある教育のおかげなんだ。
三国志:吉川英治著。レッドクリフ:評判が高いので見に行った。あの映画、女性客も多かったが、女性向きではないなあ。男性は皆楽しめると思う。CGをあまり使ってなくて、人民軍も出ていると聞いた。監督は黒澤監督の影響を強く受けており、馬を使った戦闘場面では七人の侍を大いに参考にしたようである。赤壁の戦いは、三国志にも出てくるよね。張飛と関羽と孔明ばかり印象が強くてよく覚えてないなあ。三国志をまた読むかね。吉川英治の書いた本が読みやすいよ。
決断力:羽生善冶。角川。686円。
羽生のイメージは、私にとってはテレビのドキュメンタリーによるものが大である。だから、これを読み始めて、どうも最初はしっくりこなかった。ところが後半からはすごく言ってる事に迫力が増してくる。彼が引用しているエジソンの言葉がある。「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」この言葉が全てを物語っている。相場にかかわる人には一読を勧めたい。読み方としては、最初はチンタラと読破する。次は、赤鉛筆を競馬のおじんのように持って、大事な箇所を赤線を引いていく。これがお勧めである。羽生君も言っておるで、近道はないってよ。持続こそ力なりだとよ。
「おそろし」宮部みゆき:1785円。
三島屋変調百物語事始。旅に出る時に本屋にちょっと寄って目にした本。違う世界の本を読みたかったし、宮部みゆきなら失敗はないだろうと思ったので買った。結構、怖い場面もあったりして、分厚い本だったが、比較的短時間で読んでしまった。要するに面白かったということで、さすが宮部みゆきって感じ。高いから文庫本になってから読んでもいいと思う。
「清らかな厭世」阿久悠著。新潮社。1470円。彼が亡くなって2ヵ月後に出版されたものだ。ラストメッセージと書かれているが、産経新聞の連載3年分を集約したものだ。連載分のうつしということで、どうも話題が飛び飛びというきらいがある。相当にブツブツ文句を言っている、という感じがしたが、3年分だからそういうわけでもないのだろう。彼の著書はほとんど読んできているので、このエッセイ集はいまいち私には感触が違って読みにくかった。 遺したい日本の風景ー駅舎(光村推古書院2310円)
これは実に美しい写真集だ。駅舎だけ集めてあるのは初めてではないか?子供の頃の原風景がそのまま残っている。記憶に残る駅舎写真が多いが、中でも日本唯一というかやぶき屋根の会津鉄道湯野上温泉駅が良い。この温泉は昔よく行ったものだが、新幹線の新白河から車で40−50分というところだ。だが、今度行く時はやはりこの会津線に乗って行きたい。門司港駅も素晴らしい。是非一度行きたいと考えている。この写真集を眺めているだけで旅情にひたれる。2310円は高いと思わない。こういう古い駅でなんともぴったりあっているのが、ポスト。今の角型のポストもあるが、それはいまいち。昔の丸いポストが駅舎にぴったりだ。何がしらけるかというと、飲み物の自動販売機。あれは全く興ざめの代物である。お勧めの一冊だ。80から90の駅が取り上げられている。
アジア三国志−ビルエモット。
日経。1890円。彼の本は全て読んできている。どうも今回は、スムーズに読めなかった。タイトルもいまいち。翻訳がすっきりこなかった。とは言え、この翻訳者は表彰されるくらいの人なのだから、読んでいる私がおかしいのかも知れない。原文自体がいまいち?前評判が高すぎたと思う。後、どうしても過去の著作と比較してしまう。今回は私が知っている事も多かったという点もあるからだ。知っている事を読んでも面白くはない。そうはいっても、参考になることも多いので、読むべきであろう。
「将軍家御典医の娘が語る江戸の面影」
安藤優一郎ー平凡社新書735円。

ちょうど篤姫をやっている時代背景と同じなので読者には入りやすいのではないか?幕臣たちが維新後どういう運命をたどるようになったのかがよくわかる本。昭和10年ごろに、今泉みねが80歳を越えて語った「名ごりの夢」という聞き書きの本が元になっている。静かにしみいるように当時の様子が頭に描ける優良な作品である。一読を勧めたい。
「ヘッジホッグ」バートンビッグス著、日経。2500円。望月衛という人が翻訳しているが、訳もうまいので読みやすい。私はこの本が1万円でも買うね。私は読んでいて自分の事のように感じたよ。読むべき人は、人の金を運用している人、運用させている投資家である。個人投資家や銀行のディーラーは読む必要はないと思う。読んでもいいが、読む利点が大きく違う。人のお金を運用していること、自分のお金で運用している個人、銀行のディーリングルーム、皆、同じ相場を見つめているのだけど、それぞれ全く違う角度で見ている。つまり、世界が全然違うのだ。個人投資家は誰に報告する義務もないし、四半期も年度末も何も気にしなくて良い、孫の代まで持ち越しても自由だ。銀行のディーラーは銀行がバックにいるから内規のポジションと損益リミットさえ守れば殺される事はない。良い悪いでなく、似て異なるものと思えばいい。

私の書評は☆☆☆☆☆である。
欲望と幻想の市場
私がずーーーと昔取り上げてから業界で広がった書物である。私は8年前に読んだ。ボロボロである。アマゾンだと3.5点程度の評価と低い。私は5点満点☆☆☆☆☆である。

<この本の読み方>
1.通読
2.赤ペンとともに読む
3、もう一度読む

半年ごとで良いと思う。良いものは何度か読まなければ本の訴えてくるものを感じ取る事はできない。そこまで読んでから考える最後の結論は、【彼は彼。私は私。決して真似はできない。私はリバモアにはなれない。私は私の道を究めないとならない。】 ということだった。

私の本。うちの若いものが言うには、読む人間のレベルによってこの文章から受ける印象は違うらしい。為替を始めたばかりの頃に1度。そして半年経ってから1度。そして1年経ってから・・・そうやって何度も読み返しているようだ。是非試してもらいたい。 世紀の相場師ジェシーリバモアって本があるんだけど、何でも絶版になっているんだそうだ。2001年の出版だから6年前だね。友人に聞いたら、中古本が6万円から10万円もしているんだって?びっくりこえてしまった。誰かに持っていかれないように慌てて押入れに隠した。うーん。記憶が薄いが、私の本は汚れていないし、あまり線も引いてないなあ。気に入るとボロボロになるまで読むのが私だからあまり感動しなかったのではないかなあ。欲望と幻想の市場は、私が取り上げてからずいぶん皆さん気に入ったようでどこでも推薦するようになったね。私は出版されてすぐに買った。この本はボロボロで線ばかり引かれているね。こっちのほうが断然良いと思うのだが、絶版というのは重みがあるのかねえ。
伝説のディーラー(8割の男・改定)
この本の主役”北原”のモデルとなった、当社顧問の中山氏の推薦の文を紹介しよう。
これまで、わたしたちディーラーの生態を描ききった小説はなかった。おそらく、これからも無理なのかもしれない、と思い込んでいた。そこに、この小説があらわれた。わたしも、この作者から取材を受けた一人だが、この小説は、じつにみごとにわたしたちの世界を描ききっている。ディーラーの勝負師としての緊張感、息遣いまで、生々しく伝えている。プロのわたしが読んで、一箇所のまちがいもなかった。しかも、ディーリングの歴史、日米関係もわかりやすく書いてある。為替相場の入門書でもある。また、為替相場だけでなく、あらゆる勝負に共通するノウハウ、教訓、若い哲学もこめられている。わたしは、ついに滅びていく主人公を他山の石とし、明日からも戦いをつづけていくつもりである。
「FX 市場を創った男たち」小口幸伸著。パンローリング。700円。
私も出ているので贈呈された。受け取って広げた感触はすごく悪かった。安物って感じ。全く、為替をやる奴らはどうしてこういうものに金をけちるのかなあ、と思ったのである。だが、中味は読み進むにつれ、なかなか宜しいと思った。

ここに出ているディーラーたちを全員知っているわけではないが、面白かった。私が覚えていなくて相手が私を知っていたりすることが多いので、誰誰は知らないとは口が裂けても言わない。相手に失礼だからね。覚えていないこっちが悪いのだし、こちとら歳も重ねてきているからね。

えー、とやかく言わない。個人投資家諸君、735円なんてランチ代程度なんだから買って読みなさい。昨日の私の食べたミソラーメン大盛りよりちょっと高いだけだ。君たちの取引しているネット画面の裏側がどうなっているのか、そして今皆が使っているネット画面までどうやってたどりついたのかよく理解できるであろう。また、どうして東京外為市場が急速に衰えていったのか良くわかるであろう。とにかくこの国の為替は話にならないんだよ。国際標準からちょっとずれているんだよね。小口さんはよくまとめたと思うよ。
「全思考」 北野武:久しぶりのタケシの本。面白かった。毒舌全開で変わらず。彼のテレビ番組はあまり見ないのでもっぱら彼の著作の方に最近は目が行く。彼の本音が出ていていい感じだ。彼は本音の男だからね。欧州では彼の人気は高い。ファン倶楽部まであるみたいだ。彼がコメディアンだというと誰も信じないんだそうだ。それで日本に来るファンに自分の番組につれていくんだって。それであのアホ的な格好を見せるんだそうだ。欧州のファンたちは幻滅だあと言って嘆くんだそうだ。タケシはわざとやっているらしい。賞を取るような映画監督だからといって文化人みたいに扱われるのが嫌なんだそうだ。

以前ロンドンに行った時に迎えにきたイギリス映画協会会長が高級車故障でバンにしたらしいのだが、えらく怯えていたんだそうだ。数年後わかったのは、このイギリス人はタケシが日本のマフィアだと思っていたらしいんだよ。前科一犯で出版社襲撃が出ているし、BROTHERなんか見ればそう思われても仕方なかったかもなんて書いてある。ホリエモンの事書いてあったな。金で買えないものはないと言ったことを批判する人たちがいるけど、それは違うって。ホリエモンにとっては金で買えないものはないというのは真理なんだそうだ。問題は本当の友情も全て含めて、金で買えないものを見たことないんだから、しょうがない。金で買えないものはないという奴に、それが間違いだと言っても始まらない。こいつは頭が悪いんだなあと思うしかないってさ。どこか他の人のコメントでは、東大を初めとして大学で教養を教えないからそんなこという奴が出て来るんだとか書いてあったね。まあ、いろいろ書きたいけど、本読んだらいいよ。面白い。そこの若いの!君こそ読みたまえ。おじさんたちは健在である。
バブルの歴史:エドワードーチャンセラー。7年前の名著だ。チューリップ恐慌からインターネット投機へという副題。英語版が出版されたのは1999年。執筆は1998年だ。インターネットバブルが崩壊したのが2000年春。金融、証券に携わる者には必須の著と思われる。多数の人に読まれている。日本で出版されるまでに日がたっているね。まさにインターネットバブル崩壊の2000年4月に発行されている。日本のバブルについても詳しく分析されている。今、世界は過剰流動性に囲まれ、あちこちでバブル現象が目立つようになっていると言われている。その盛りにこの本を読むことは大事な事だと思われる。私は2回読んで、線ばかり引いてあるが、もう一度読もうと思っている。少なくとも現在のバブルがどの程度まで進んでいて、どの辺に位置しているのか知るには有用である。おぼろけながらわかるだろう。この本は個人投資家も読むべきと思う。翻訳がわかりやすいから難儀だと思わない。
10年後の日本:自分では勉強もし、知識人のつもりであったが冷水をかけられたような気分になった。と言うより、目からウロコ的な感覚かも知れない。 「日本の選択」ビルエモットとピータータスカの対談集:そう、エモットは例の「日は昇る」、「日はまた沈む」を書いた有名な人だ。最初のうちは、タスカがしゃべりすぎるせいか、彼の箇所が多すぎて、どっちが何を語っているのかわからなくなったりしたが、基本的な流れは私の考えと一致していたので、ドンドン読み進んだ。先週は、日経の書評欄で取り上げられていて☆5個だった。私も☆5個の評価である。皆さんにも是非一読してもらいたい
「この国の終わり」−林 秀彦著。これが何とも私が今まで遭遇したことのない類の本。いろいろ書かれているが、怒って書いているせいか、最初は支離滅裂のような感じがした。その後の日本文化への熱い思いを読むに従い、素直に読み通す事ができた。この著者は、きわめて日本文化と日本民族への造詣が深く、愛情に満ちているようだ。だが、今の日本人は今までの日本民族ではなくなりつつあると警鐘を鳴らしている。変なおっさんと思って彼の履歴を見てみた。柔道師範、ドイツとフランスの大学で学び、若者たち、50%視聴率の鳩子の海、七人の刑事たちの脚本をやった。現在72歳。大分の山奥に在住。私はこの本を推薦するわけではない。だが、こんな本があって、聞いたことのあるような話が満遍なく出てきたので触れてみたかったのだ。そして先日テレビを見ると、学校の運動会のリレー競争でバトンタッチができないでぶつかってしまう子供たち、玉転がしで自分が転がってしまう子供たちの話が出ていて、やっぱり何か変なのかなあ、とおもってしまう。皆さん、信じます? ルービン回顧録なんと私にしては珍しく読破するのに日数を費やした。3ヶ月かかってしまった。ルービン氏を尊敬する金融関係の人々は多い。私もその中の一人である。だからこそ、彼の書いたものを読まなければならないと思ったのである。ただし、私は政治的な事に全く無関心なので、ホワイトハウスの内部の事とか、政治的立案というような箇所で1週間に3ページほどしか進まなかったのである。だが、さすがに金融関連の分野になると示唆に富むコメントが多く、大変に有用だった。本は3360円もして、530ページにわたる分厚い本である。うちの若い者が読んでみたいというので、政治的な、そしてアメリカの議会関係の箇所は飛ばして読むなら良いだろうと答えた。あの部分は、日本人にはわかりにくいところである。翻訳にも問題があると思うが、意訳はできなかったのであろう。私は後半の半分は一気に読み終えた。大変に示唆に富む箇所が多く、さすが世界の金融マンが尊敬するだけの人物だと思ったのである。
「敵兵を救助せよ」恵隆之介、草思社。1700円。
そう、最近つぶれてしまった良心的な本をたくさん出していた出版社だ。フジテレビーアンビリバボーで紹介。感動の秘話。これが真の武士道だ。1942年3月、スラバヤ沖海戦のあと、武士道を発揮、危険をおかして英兵422名を救出した工藤少佐の感動の物語。となっている。工藤少佐は眠そうな顔をした人で最初のほうはあまり面白くなかった。ところが四分の一程度読んだ辺りから俄然面白くなった。駆逐艦雷の艦長だった人だが、180センチ以上ある長身で、眠そうな顔は、実はきわめて温厚な人柄のためだと知った。

当時、敵兵の救出には潜水艦の攻撃などがあり、下手をすると自分たちの船もやられるというくらい危険な事だったようだ。救助した甲板上で、工藤艦長は、「諸君は勇敢に戦われた。いまや諸君は、日本海軍の名誉あるゲストである。私は英国海軍を尊敬している。ところが、今回、貴国政府が日本に戦争を仕掛けたことは愚かなことである」と英語でスピーチをしている。海軍兵学校の教育、この駆逐艦の救助劇、その後の駆逐艦雷の運命というような流れになっている。

戦後、この話を出版するような話もあったらしいのだが、当時は軍隊や兵隊に対する蔑視はひどく、出せないうちに流れてしまっていたようだ。この工藤少佐は恐ろしく権力とか、私的なことには無縁の人のようで、戦後も海上自衛隊へのカムバックの話も断り、大企業への就職も断ってひっそりと地元山形から埼玉に移って暮らしていたようだ。どうして出版になったかというと、英海軍からなのだ。当時救助された人たちは、皆工藤少佐の人柄を尊敬しており、恩義を忘れずに、戦後、ずっと彼のことを探していたらしい。ところが、海上自衛隊でも見つけられなかったようだ。それがひょんなことから、わかったのだが、そのときにはすでに工藤少佐は亡くなっていた。

私は、この本で初めて英海軍の事を知った。米海軍とは大違いで、さすがに伝統の海軍であり、私は英海軍に大変に好意を持つようになった。また、工藤少佐の人柄を知れば知るほど、まことに立派な海軍軍人であり、私は今までいろいろな軍人の本を読んできているが、一番尊敬できる人かも知れないと思うのである。ぜひとも一読し、わが国にもこういった人物がいたということを知り、日本民族に誇りを持つべきであろう。
真珠湾攻撃総隊長の回想ー淵田美津雄自叙伝(講談社)
2000円近い本だが、その価値はある。ハワイ奇襲の360機の大編隊を率いた隊長である。映画トラトラトラでは、田村高広が演じていたので覚えておられる人も多いだろう。帯に書かれているのは、あの戦争はなんだったのか。真珠湾攻撃の総指揮官として太平洋戦争の期間、武勲を誇った海軍軍人。その心中では日本海軍の欠陥に早くから気づいていた。戦後はクリスチャンに回心、伝道者としてアメリカを回る。歴史の真実と個人の煩悩とを正直に明かした異色の回想記。史実の書き換えを迫る貴重な書であるとなっている。

私の印象は、数奇な人生という一語だ。結構な数の戦記物を読んできているが、今までの本とはまったく違う。前線にいた人ならでは話が多く、知らないことも多かった。山本元帥を凡将ではないかと疑っているところなど興味深かった。真珠湾攻撃が終わった後、機動部隊はインド洋まで遠征し、英艦隊を撃滅させたりしているのだが、それからウロウロとソロモンのほうに行ったりして、ミッドウエー海戦までの半年が私にとっては不可思議な時期だった。ラバウル空襲など、爆弾を落とす相手もいなかったのだそうだ。こんな道草を食っていていいのだろうか?と彼は疑問を投げている。私が思ったとおりのことを彼も当時思っていたのである。彼は、真珠湾の後、米空母群を見つけて、撃滅すべしと考えていたし、南雲長官に対する不満が書かれている。真珠湾の後、すぐに米西海岸を攻撃すべきだったと述べている。米軍が萎えているときに一気に米国民の戦意を喪失させるべく攻撃続行をすべしと疑問を投げかけている。

アメリカの東京初空襲の日本の軍部に与えた衝撃の大きさも書かれていて、それがその後の作戦の失敗につながっていくことなども書かれている。彼は日本海軍の提督たちは凡将が多いとしている。勝負度胸に乏しい、しつこさがない、歳をとりすぎて経験が邪魔をして石橋を叩いて渡る、勝てる戦を前にさっさと引き上げた南雲提督やソロモン海戦の三川提督などを批判している。若返りが必要として海軍大臣に談判にまでいっている。

まあ、そんな調子で読み飽きない。彼は戦後クリスチャンの牧師になるわけだが、あれだけの数奇な運命を歩めば誰でも宗教に入っていくだろうと思う。私は今までどうあがいても絶対にどっちみちアメリカにはかなわなかったという考えだったが、勝てたかも知れないと、この本を読んで初めて思った。もちろん、山本元帥の想定したアメリカ人の戦意喪失ー和平交渉が成功したと仮定しての話ではある。
「ワーキングプア」ポプラ社。1200円。
いろいろ賞をとった作品だ。テレビドキュメンタリーで2006年7月と2006年12月に放送されたものを本にしてある。働いても働いても豊かになれない、努力すれば抜け出せますか、というような副題となっている。私はテレビのほうを見た時、衝撃だった。これは格差社会とかいうものでなく、日本に初めて出現している社会現象だと思う。

人は言う。ちゃんと仕事探していないんでしょ、努力していないからだ、自己責任だ。その人たちに問いたい。ここに扱われている人たちに処方箋を作ってやってくれ。1日8時間働いて月に8万円しかもらえない社会が現実として存在している。批判する人たちは現実を直視したがらないから、ドキュメンタリーも本もみない。だが、中には大企業のサラリーマンだった人までいるのだ。いつ、自分たちに降りかかる災難なのかも知れないのだから、ひとごととは考えないほうが良いだろう。これは日本人全員が読んで、将来の事を考えるべきである。
プリンセスマサコ:ベンヒルズ著ー藤田真利子訳。まず翻訳がすごくいいね。わかりやすい。外人でないとこの本は書けないと思ったよ。皇室報道はほとんど海外が主体で本物で、日本のマスコミは宮内庁を恐れて無視したりするのを初めて知ったよ。出版社も第三書館というあまり聞かないところだ。それでも三省堂では山積みにされていたけど。大手の出版社は尻込みして出せないとわかる。帯に書かれているのは、これはひとりのきわめて有能な女性が被害者となった人権喪失の記録である。加害者は私たち日本人すべてである。宮内庁猛反発の日本の皇太子妃の悲劇的な真実、遂に邦訳出版なる。裏表紙では、プリンセスマサコの真実:検閲された雅子妃情報の謎。幻の日本語版で葬り去られた百数十箇所の闇。読まれたくない雅子妃情報をコントロールしたものは?などとなっている。

私には衝撃的な本だったね。あまり知らなかったし、というか、知らされていなかったし、何ともすごい世界が現実にあるのだとわかって驚きだよ。日本人皆が読むべきだね。鬱病という病気の怖さも初めて知った。あれは世界ではきちんとした病気と認定されているのに、日本ではこの10年でやっと病気と認められたらしいね。世界で売れている薬が日本では売られてないんだってさ。リリー社が一番有効な薬を作っているらしいが、日本には申請もしなかったらしい。売れないと考えたみたいだ。日本の自殺者の数が異常に多いのも実際には生活苦ばかりでなく、鬱病が原因というのが多いみたいだよ。日本では精神的な疾患を恥と見るようで認知度が異常に低い。だから、精神科のレベルは世界的に相当に低いレベルらしいよ。精神病院での入院日数も欧米では10日前後が平均らしいのだが、日本では360日だってさ。まあ、いろいろ考えさせられるよ。読むといい。それにしても、私は皇太子が好きになったね。彼はナイスガイだと思うね。
「さらば財務省」高橋洋一著。講談社。
参考になったね。官僚というか民間というか、想像以上に大きな溝があることがよくわかった。なるほど、こっちの論理が通じないはずだ。下手に頭がいいから弱ったものである。なんじゃら審議会が何をやっているのかもよくわかった。驚いたのが、日本は言われているような巨大な財政赤字国でないということだ。何が消費税だ、よく言うよ。増税する為の世論操作じゃないかと思ったね。まあ、官僚があそこまでぶちまけてくれたおかげで楽屋裏がよく理解できた。皆、読んだほうが良いだろう。今まで思い込まされてきていたことが真っ赤な嘘というのが多いし、今まで読んだ事のない類の本だ。それにしても呆れたのが社保庁の実態とマスコミの汚さかな。
   
「みんな、野球が好きだった」小田豊二&根来広光著。ホーム社。2年前に刊行された本だ。これを読んで、今の50歳以上でノスタルジーに浸れない奴はおかしいと思わせる本である。

根来と言えば日本一の大投手金田。6大学のヒーロー長島が巨人に入団して、金田との初対決をするのだが、その時のエピソードから始まっている。金田は根来と飯を食いながら、「いいか、ゴロ、よう見ておけよ。長島がどんなにすごいと言ったって、所詮アマから来たばかりのルーキーや。こっちはプロで何年もメシを食ってる。プロの力がどんなものか、明日、この俺が長島に教えてやるから。俺は絶対にあいつに打たせない。ゴロ、いいな、よう、その目に焼き付けておけよ。」と語る。金田のすごさは、この勝負に4打席4三振に長島を押さえ込んだ事だ。金田の記録はいまだに破られていないのが多い。400勝投手。防御率2.34.365完投。4490奪三振。64回無失点記録。14年連続20勝以上。完全試合。根来は、この本の中で、その後の長島の立ち直りをみて只者ではないといたく感銘を受けている。

この本にはデータもたくさん出ているんだよな。昭和42年のベストナインをちなみに書いてみよう。セリーグ:小川健太郎(中日)森(巨人)王、高木守道(中日)長島、一枝(中日)、江藤慎一(中日)、中(中日)、山本一(広島)パリーグ:足立(阪急)、野村(南海)、大杉(東映)、ブレイザー(南海)、森本(阪急)、大下(東映)、張本(東映)、土井(近鉄)、長池(阪急)。まあこんな具合で懐かしい名前が年代別に全部掲載されている。野球の好きな人にはたまらない本だろう。なつかしい写真もたくさん出ている。
「評伝ー王増祥」久末亮一著。勉強出版。1800円。
副題は台湾、日本、香港を生きた、ある華人実業家の近現代史となっている。近現代史などと書かれていると腰の引けてしまう人も多いかも知れない。だが、そんなこともない。目次を見ると大体の概要が垣間見れる。序章:不思議な老人、その後から、台湾に生まれて、18歳の億万長者、香港、香港ダラー旋風、蹉跌ー王子製紙事件と片倉工業事件、迷走する人生、孤独の人、となっている。

現在81歳であるからにして、台湾生まれとは、日本の植民地時代の台湾である。韓国朝鮮と同じであるが、台湾統治は比較的穏健でうまくいっていたのでそれほどの差別はなかったと思う。結局、彼は日本人なのか、台湾人なのか、華僑なのか、という自分のアイデンティティーに悩み、また今でも悩んでいるようだ。日本人になりたかったがなれなかった、受け入れられたと思ったが実際はそうではなかったという話である。

私にとって興味深かったのは、日本の台湾統治の頃の話、戦後のドタバタの頃、まだ香港が急成長を遂げる前の香港の経済界の話、香港ダラーの総帥として兜町で仕手筋の一つとして捉えられた頃の話、大蔵省ー証券会社ー司法のつるんだ日本独特の金融鎖国の話、であった。香港筋と騒がれていた頃の話はよく覚えている。王子製紙のことはあまり覚えていなかったが片倉工業のことは覚えている。

しかし、大蔵省というのはとんでもないね。また司法もそうだけど、もう日本人のDNAかと思わせる。私が絶対に日本が金融立国にはなれないと書いてきたことをまさに実証するような話ばかりだ。あの当時のストーリーを読んでいると、ここ最近の村上やスティールパートナーズなどのゴタゴタとあまりに似ているので驚く。だから、日本は何も変わっていないのだ。そして、司法の投資に対するいろいろなコメントも納得ができるのだ。日本で投資で身を立てることはほとんど不可能だということだ。こういったことに興味のある人は読むと良いだろう。
「仁義なき戦い」調査、取材録集成ー笠原和夫著。太田出版。3360円。
3年前の本だ。うちにはいろんな会員がいて、まあ、こういう本を探して送ってきてくれる人もいるわけである。手に入りにくかったらしくやっとゲットされたようである。副題は、戦後やくざ抗争事件史上最大の広島抗争はいかにしてダイナミズムあふれるドラマとなったのか?稀代の映画脚本家、笠原和夫の綿密かつ激烈な取材、調査録、と書かれている。
 
やくざの組織図が複雑でわかりにくかった。字が小さいので最近目がいまいちの私にはきつかった。本名、映画での名前は出ているのだが、該当する俳優名が出ていないので困った。これでは映画をもう一度見るしかないね。映画は、1973年に仁義なき戦い、同年、仁義なき戦い広島死闘編、同年、仁義なき戦い代理戦争、1974年に仁義なき戦い頂上作戦となっている。ここで出てくるヤクザでやけに脳裏に残ったのは、美能幸三、確か菅原文太がやったと思う。大西政寛、別名、悪魔のキューピット。この役は誰がやったかわからない。この二人はすごく印象が強かった。山村辰雄という親分は、金子信雄がやったが、この本の中でも嫌なやつって感じ。金子信雄の演技がすごく良かったということだろう。
 
広島、呉での抗争は昭和38年に終結。戦争前からの話が出ているが、戦後の復興期に朝鮮戦争で潤ったヤクザの世界が克明に描かれている。銃撃事件が多く、すさまじい話も多い。警察も検察も政治家も皆抱き込まれているんだから、呆れた。結局は市民運動がヤクザを駆逐したのではないかと思う。広島県の人には必読の本だね。読み終わって、もう一度、仁義なき戦いシリーズの映画を見たいと思う。あれは、やはり日本映画史上で輝く作品だと思う。あのまま実写って感じだったのではないかと思わせるくらいの傑作だったと思う。
「私事」中村雀右衛門
岩波書店。1680円。3年前に出版されたものだ。歌舞伎の女形。人間国宝。恥ずかしながら、いまだに歌舞伎を見てないという日本人の私が読んだ初めての歌舞伎関係の本だ。女形なんて変なの?なんて考えていたのだから話にならぬ。女になりきるというよりも、観ている男たちが、命捨ててもこの女と一緒になりたい、と思わせるような存在らしい。なんだか、今の強い日本の女性たちに目指してもらいたいと思うのである。それにしても80歳にしていまだ完成せず、だもんね、参るよ。すごいね。黒白映画で佐々木小次郎をやった人だと知って、やっと誰だかわかった。この本の中で、彼が語っている言葉の中で、なかなか心に残るものも多く、最初は適当に読み始めたのであるが、最後は、背筋を伸ばして読んだのである。こういう世界がある、こういう人たちがいるということを知る事ができて良かったと思う。
公認会計士VS特捜検察、細野祐二著、日経BP。
2000円近い本だけど確かに分厚い。以前も書いたけど、このような検察がどのくらい卑怯な手段をとってでも起訴するか、どうしようもない弁護士たちがいる、裁判官が世間から乖離している、そういうことが書かれている本が出る事自体、この国にはまだ言論の自由があるんだと思う。この著者もそうとうにクソ真面目な人だ。あまりに長いので疲れる。繰り返す箇所を減らして、もうちょっと簡略化したほうが良かったような気がする。

だが、冤罪とも言えるこの事件は読むに値する本だろう。一般の人には難易かもしれない。会計がからむし、金融関係がからむので単語自体がむずかしい。とは言え、我々はいつ彼と同じような状況に追い込まれるかも知れないのだから、読むべき人たちはやはり読むべきだろう。絶対に読むべき人たちは、当然ながら公認会計士とか税理士、法律事務所にいる弁護士たち、検事、裁判官だろうね。後、株式市場や財務にかかわる人たちだね。読み応えはあるよ。
「私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか」島村英紀著。講談社。
最初はチンタラと、後半になると凄みを増してくる本。国民必読の著だと思える。我々はいつ誰でも国家権力にふりまわされる存在になるかわからない。最初の冒頭から事件つくりについて書かれている。検察は、このやろう、と思った奴は必ず捕まえるのだそうだ。まず、マスコミにリークする、マスコミは検察からの情報が途絶えるのが怖いから従う。マスコミはストーリーを作るのが得意。そして、世間的に悪者に仕立てる。そこで社会的抹殺となる。悪者にしてから白馬の騎士として検察が登場する。

国家の意思に背いた者には制裁という構図だ。検察とはテレビドラマの検察官シリーズとは大違いの連中である。これほど奢った組織が存在するのかと慄然とする。中には良い検事もいるわけだから、あまり全員一緒というようには考えたくないが。だが、この法治国家でこのようなことが行われているとは驚きである。そして、我々の誰もがこの大学教授のようにされるかわからないという事を知っておいたほうが良い。いくら自分が正しいと考えることでも、彼らの考える正しい事とは異なるのである。やはり、一読すべきだろう。
「反転」 田中森一著。
相場が多忙で全く本を読めなかったのだが、ここ最近のどうしようもない往来相場に辟易して久しぶりに読書ができた。この本はベストセラーだったし、多くの人に読まれているようだ。この幻冬舎という出版社の宣伝はなかなかたいしたものだといつも思う。買って読んで見ようと思わせるだけたいしたものだ。

検察もここまで暴露する男が出てくるとは想像していなかったと思うのでショックも大きいだろうね。私が考えていた以上の世界だね、司法は。やっぱり、国の方針があって、あいつ気に入らないからやってしまえ、的なものが絶対にあると思ってきたから、読んでいてその通りだったので驚いた。権力を持った集団の怖さを感じるね。戦前の特高のような気がしたもの。

それにしても暴力団の組長と政治家とのからみなど、週刊誌によく出るような話だったが、本当だったんだね。だから、今、国会や世間で騒がれている政治と金の問題なんて本当なのかと思ってしまうよ。そして、国税庁や財務省の官僚たちがどっぷりと金に漬かっていたのを知って愕然としたね。あれでは、インドネシアとたいして変わらないし、江戸時代そのまんまではないか。官僚はまだ袖の下で裁量行政をやるのかね?だって、たった10年、20年前の話だよ。突然、クリーンになっているの?今、清廉潔白ならこれまた極端だと思うなあ。

まあ、元の職場の検察に刺されて、その仕返しに全て暴露したという感じの応酬であるが、この人も相当にドップリと漬かっていた感じがした。後から反省を書いているけどね。と言うわけで、それなりの著書なので、読んでおくほうが身の為だろう。いつなんどき巻き込まれるかわからないと思わせる世界だ。それにしても、全部実名だから慌てた人たちも多いのではないか?
「それでも僕はやってない」
観ようと思っていて観れなかった作品だが、ご存知周防監督の作品。先日テレビで放映されたので観られた方も多いだろう。久しぶりに良い作品を観た。すごく良かった。この監督はただものじゅないね。彼の作品全て好きだよ。ブログ辺りでも相当な人気となっているようだ。司法は実に恐ろしい。いつ自分が犯人にされたり、検挙されたりするかわかったもんじゃない。悪い女がいればそれだけでおしまいだ。それにしても世間の常識の通じない世界である。
「極みのひとり旅」柏井壽著、光文社新書。
実は私は旅の達人なのだ。私はあまり人には言わない。大体今の昼間の温泉ブームだってそんなの流行する前から私はやっていたよ。いいもの教えると皆殺到するから言わないんだよ。意地悪なのだ。この柏井氏はその道のプロのようなのでほとんど隠さずに書いているね。ひとり旅の極意的なものは私はわかっているので読んでいてもほとんど知っていることなので何ということもなかった。でもあまり旅を知らない人には興味が出る話かも知れない。俄然面白くなったのは、ひとり旅実践編だね。書かれているのが、松山、松本、尾道、広島、仙台、湯河原、天橋立。これは良かった。私の知らない事がたくさん出ていた。感心したしね。天橋立以外は全て行ってるのだが、これを読んだら、私は旅の達人なんて言えなくなってしまったよ。と反省するのであった。780円だし、手軽に読めるから一読を勧めるよ。
「社長、あなたの財務感覚はここが足りない」
実業の日本。長尾数馬著。1500円。煽るようなタイトルの本はあまり好きではない。おそらく著者がつけたのではないのだろう。なんだか、題名を見て、私は、ギクッとしたのである。うん?これって俺のこと?って感じ。中味は75編に分かれている。全ての項目で2ページにまとめている。結論から行くと社長という肩書きをもっている人は読まなければならないだろう。理由は、この歳になっていまさらそんなこと聞けないとかいうようなものがわかりやすく書かれているからだ。また、知ったかぶりしていたこととか、絶対に知っておかなければならないこととか、そういうことがほとんど網羅されている。来月、税理士に会ったときに、偉そうに昔から知っていたような顔をしながら、説教たれてやろうなどと考えているのである。

歴史街道という雑誌は面白そうだね。まだ買ったことがないのだが、新聞のCMで見かける。1月号は、あの最強とうたわれた零戦パイロットの坂井三郎氏の話だ。以下のような説明になっている。
太平洋戦争時の日本の傑作戦闘機・零式艦上戦闘機。その零戦を愛機とし、日中戦争から8月17日の最後の空戦までを戦い抜いた撃墜王が、坂井三郎です。彼の操縦技術、64機という通算撃墜数もさることながら、特筆すべき点は、戦いを生き抜いたことでしょう。絶体絶命の危地に何度も陥りながらもそれを突破できたのは「不撓不屈」、すなわち最後まで絶対に諦めない彼の生き方でした。その気迫を現代人に問います。http://digimaga.ocn.ne.jp/magazine/124003.html ここで立ち読みを部分的にできるようだ。彼の本は、昔からもう5冊以上読んでいる。大空のサムライが最後だったかな。今でも書棚に何冊か置いてある。生き残った数少ないエースパイロットの話だから、すごく面白い。右目の視力を失い戦線離脱となった。

坂井 三郎(さかい さぶろう)大正5年(1916年)8月26日 − 平成12年(2000年)9月22日)は、大日本帝国海軍の戦闘機搭乗員(パイロット)。佐賀県佐賀郡西与賀村(現在の佐賀市)出身。太平洋戦争終戦時は海軍少尉、最終階級は海軍中尉。太平洋戦争時における日本のエース・パイロットとして知られる。戦後に海軍時代の経験を綴った著書「大空のサムライ」は世界的ベストセラー。

このような紹介もあるね。代表作となる戦記『大空のサムライ』は各国語に訳され、世界的ベストセラーとなった。因みにイラク空軍でも、この作品をパイロットの必携書として義務付けていた。晩年、『朝まで生テレビ』に坂井が出演した際、戦争の是非や戦争への構えかた等についての彼の発言に対し、周囲に陣取った反戦系の論客は何一つ反論できなかった。実戦を体験した者のみが持つ言葉の凄みが彼らを圧倒した。また現在の若者への苦言を期待された質問には、「自分の時代にも若いやつは駄目だと言われ続けた」とかわすと、スタジオ内で観覧していた若者から拍手が起きた。

飛行する敵国機は軍民・武装の有無を問わず撃墜する命令が出ていた。容易に撃墜可能であったが、坂井はこの機に敵の重要人物が乗っているのではないかと考え、生け捕りにしようと味方基地へ誘導するために輸送機の横に並んだ。この時、坂井は輸送機の窓に震え慄く母娘と思われる乗客たちが見えることに気づいた。これを見て「逃がそう」と思った坂井は手を振ってその場を離れ、帰投後上官には「雲中に見失う」と報告した。命令通りに撃墜せずに逃がしたことは恥ずべきことと感じていた坂井は、戦後の著作にもこのことを記述しなかったが、年を重ねるに従って考え方が変わり、終戦から50年近く経った頃の講演会で初めてこのことを明かした。なお、これと同じ頃、当時機内から坂井機を見ていたオランダ人の元従軍看護婦が、「あのパイロットに会いたい」と赤十字等の団体を通じて照会したところ、当該パイロットが有名な坂井三郎であることを知り、非常に驚いたようである。2人は再会し、互いの無事を喜び合った。

彼は亡くなっているんだね。まだ存命かと思っていた。なんで今回、彼を取り上げたかというと、イージス艦の情報漏えいの話で、あまりに自衛隊の士気がお粗末なので頭にきたのである。逮捕されたあいつは、鞭打ち千回の罰だよ。なるほど自衛隊が軍隊ではないのだと実感させられた。米軍が呆れて怒るのも無理ないよ。国防予算3割カットすべし。

「覇者の謀略」実録プロ野球40年史。藤本定義著。京都のお客さんから、読んでみてくれと頂戴した本だ。1983年発行。もう25年前の本だ。当然ながら藤本監督は今は亡くなっている。巨人と阪神の監督をやった人だ。それがさあ、参ったね、昭和10年ごろの野球から始まるんだよね。まさに日本のプロ野球の歴史でね。沢村やスタルヒンなんか出てくるんだけど。戦争時代とかもあって、特にすごいのが戦後のプロ野球の立ち上げ。セリーグ、パリーグはやっぱり喧嘩して分かれたんだね。挑戦状だとかすごいんだよ。四国の松山は本当に子規が書いていただけあって、野球のメッカみたいなところだね。

私の記憶は昭和35年くらいからだから、話が古すぎてついていけなかったのだが、読んでいくうちに面白くなった。日本のプロ野球興亡史を知りたい人には良い本だろう。これを読むと今の野球はやっぱりつまらないと思う。これはシリーズ物で、風雲の軌跡(三原)華麗なる波乱(水原)御堂筋の凱歌(鶴岡)猛牛一代の譜(千葉)48歳の青春(浜崎ーうん?忘れたなあ、この人)V9の闘魂(川上)というふうになっていて、野球殿堂シリーズだって。
バルトの楽園
2年前の作品だ。すごく良かった。なるほど文部省選定となるはずで、若い人たちには見せたい映画である。松平健と国村隼が好演している。ドイツ人将校のブルーノガンツはヒットラーの12日で有名な俳優だ。松江豊寿所長が会津であることも大きい。まさにこのような人物が昔の、つまり第一次大戦頃までの日本軍人だったのだと思う。当時、世界でも一目おかれていた日本軍人である。私は、真面目に第九を聴いたことがなかったのだが、今回聴いて、あらためて良い音楽だと感銘した。なるほど、多数の日本人が筆頭に上げるものだとわかった次第だ。今度、きちんとオーケストラの生を聴いてみたい。
写真で読む 僕の見た「大日本帝国」
最初からランキングをつけよう。☆☆☆☆☆である。おじんの私より、特に若い人に是非とも読んでもらいたい書物である。写真が満載されているので、多分読みやすいと思われる。丁寧な取材と正直な感想に好感が持てる。1680円と高いように思えるかも知れないが、3000円の価値はあるだろう。著者はまだ36歳と若い。最初の大日本帝国地図を見れば、わが国がどのくらい大きなものだったかわかるだろう。そして、その広大さゆえに防御もままならず、米軍にドテッパラをやられたのもわかりやすい。中国、朝鮮などといろいろな確執がいまでも残る。だが、我々の先祖がやってきたこととは言え、我々は過去の事実から目を離してはならない。読後、正当化したり、慙愧の思いなどする必要はない。そんな気分にならずに、素直に歴史を直視できるようになると思う。久しぶりに読み応えがあった。

『歴史街道』 闘将、山口多聞
私の好きな海軍提督である。歴史街道という雑誌に大きく掲載されていた。闘将、山口多聞。逃げない生き方。ミッドウェー海戦から65年、見敵必戦の闘志と責任感、この男をアメリカ海軍はもっとも恐れた、などと書かれている。あの大海戦で最後まで残った空母飛龍で戦った当時の書物を読むと、まるで絵に描いたように頭で描ける。空母飛龍の生涯とかいろいろ本が出ている。ほとんど読んだけど、戦記物が好きな人にはお勧めである。なお、山口提督は飛龍の沈没と運命をともにした。

バイアウト:幸田真音著。
マインというファーストネームらしい。花火でマインてあったような気がする。よく売れている金融小説のようだ。1700円、ちょっと小説にしては高いかな。ハードカバーだから最近はこのくらいが普通なのかも。この手の小説は、昭和30年代、40年代に結構出ていたような気がする。舞台は株式市場だが、昔の兜町的物語とは似ているようで異なっている。まず、女性がこの手のものを書くような事はなかった。と言うか、最近は証券市場も金融市場も女性が表に出てきているので私にとっては驚きである。昔は皆無だったからね。M&AやTOBが焦点になっており、気楽に読めるから、興味のある人は読むと良いだろう。こういう世界になっているのだと理解できると思う。
阿久悠:まさに巨星落つという感じ。ショックだなあ。すげええ尊敬していたんだよね。いろいろ報道されているから詳しく書くこともないだろう。最初に彼をテレビで見たのは、20代の頃で、日本テレビのスター誕生だった。ももえたちがデビューした番組だ。言いたい放題の厳しいコメントを出す人だった。きついおっさんと思っていたが、そのうち、彼が一番まともなことをまともに語っているんだよね。一本筋がきちんと通っていた。さすがにこの人、只者じゃないなあって思ったもの。彼の作った歌はほとんど大好きなんだけど、彼の書いたエッセイなどが大好きでね、ほとんど読んだ。本では瀬戸内少年野球団も良いのだが、ラヂオが秀作だったと思う。あの本は本当に良かった。彼が書いたというだけで買ってしまったのだけど。彼の夢が直木賞をとることだったと書いてあったけど、あげれば良かったのに、資格十分だよ。そういうわけで、惜しい人を亡くして、また時代の変化を感じる。

滅びゆく国家 日本はどこへ向かうのか(立花隆) この日経の本高いなあ。2310円もする。立花氏は私が一目置く人である。そう、よくNHKに出てくるよね。おばさん的顔の人。彼の本は、臨死体験、宇宙からの帰還、を読んだ事があって、それ以来のファンだね。ドキュメンタリー番組での解説も気に入っている。いやあ、この本、面白い。まだ途中なんだけどね。ホリエモンの件でもリーマンの儲け独壇場とか、闇の世界の話とか興味津々。若い人読むといいよ。年配者は考えが固まっている事が多いので柔軟性が必要だ。
「マシアス・ギリの失脚」池澤夏樹著。文庫本だから字が小さく、読むのに苦労した。この小説は谷崎賞を受賞している。夏の暑い頃に読む本、南国が好きな人が読む本、海が好きな人が読む本。選んだ場所はパラオではないかと言われている。パラオも出てくるのであるが、ここがパラオの方がすっきりするらしい。島の地図もそんな感じだ。おとぎ話的に小説は進行する。文明への皮肉も込められている。全ての事象が経済的な論理や政治的論理だけで動いているわけではない事も語っている。ただ、そんな難易な事を書いているわけではない。作者の奥を探るとそんな感じがするのだ。この南国の島の大統領は日本とも関係が深く親日的なのだが、結局彼は失脚する。まあ、脳みその同じ部分しか使っていない人たちには、脳みそに違った風が吹きこむ、という感触で読むと良いだろう。なんとなく読後、心に残ってしまうという作品。

小西甚一氏:訃報記事を読んでびっくりした。この人は日本文芸史古文研究法の第一人者で筑波大の名誉教授。なんでこの人を取り上げたかというと、高校時代、この人の参考書が面白くて、わかりやすくて、古文が大好きになったんだ。あれほど古文を親しみやすくした人はいないね。どの参考書も教科書もつまらなかったからね。しかも、古文の若先生が小西教授の教え子の大学院生だったんだ。なつかしい。説明に書かれているね。受験参考書「古文研究法」の著者としても親しまれた。あの参考書で成績はトップクラスになったと思う。 世界秩序の崩壊:ソロス著。自分さえ良ければ社会への警鐘という言葉とソロスということで買ってしまった。たいして厚くないのに2000円だ。読み終えるのに恐ろしく時間がかかってしまった。翻訳が難易すぎるのか、英文そのものが難易なのか不明だ。たとえば、標準としての再帰性という項目がある。再帰性は現実の人生でも起きる。しかし、金融市場の場合に比べて、分析も証明も難しい。その理屈は再帰性は偏在的だからである。それは標準からの逸脱でなく、それ自体が標準なのだ。このポイントを正しく認識するには、再帰性を暴騰ー暴落の過程と混同する過ちを回避しないといけない。云々。こんなもの読んで意味がわかる?私には100%理解ができない。本も半分過ぎてくると次第に彼の言いたい事もわかってくるのだが、だからと言って一般人にはたいして意味をなさないと思うのだ。安部晋三首相に読んで欲しいと書かれているが、そう、首相が読むべきであって、我々一般人は読む必要性を感じない。
隠し剣ー鬼の爪:うーむ。なかなか良かったね。たそがれより良かったと思う。主演の永瀬正敏というのがいい俳優だね。庄内弁もいい。あの方言は大好きだ。この年は「半落ち」が日本アカデミー賞を取ってしまったので仕方ないが、優秀作品だと思う。それにしても必殺仕掛け人的に家老を殺したが、あの剣の技もすごいね。 破滅の美学:シナリオライターの笠原和夫氏によると、普段自分が言わない言葉をやくざ映画では書けるので、それが楽しいらしい。島田昭吾だと、「おらあ六枚のカルタしかわからねえ男だ。面倒くせえ話あ、あの世に行ってからとっくり聞かせてくれい」という凄みを出し、高倉健だと、「お命、頂戴致します!」と礼儀正しくなり、菅原文太だと、「こん外道くそ、往生せえや!」とならないと感じが出ないのだそうだ。この人が一番好きな言葉は「国破れて極道あり!」敗戦後に焼け跡で叫んだ男の言葉なのだそうである。
サウンドオブミュージック:世界でこの映画を観なかった人はいないのではないかと言われる名作であるが、先日NHKのドキュメンタリーを見た。次女のメアリー?が語る話なんだけど、すごく良かったね。あの番組は反響も大きかったようだ。しかし、彼女はいいよね。常にニコニコ明るく語っていて。アメリカに渡って以降の話なんて全然知らなかったから興味深かった。ザルツブルグは行こう行こうと思っていて、とうとう行かなかった。やはり行ける時にどこにでも行っておかないと一生チャンスがなくなるね。 シドニーシェルダン死んじゃったね。89歳だったから結構小説は遅いデビューだったようだ。ゲームの達人にしても真夜中は別の顔血族神の吹かす風明け方の夢星の輝き遺産私は別人天使の自立明日時間の砂陰謀の日女医、これ全て読んだと思う。どれも全て面白かった。訳もうまかったと思うね。この人は尊敬するよ、あれだけ面白いものを書けるんだからね。読んでない人も是非読んだらいい。古本屋にたくさんあると思うよ。問題は読み出すと夜中も眠れなくなってしまうことだ。合掌。
「翼に日の丸」川又千秋著。真面目な戦記物だと思って、読んでいたら、どうも真珠湾攻撃で米空母が沈んだり、山本五十六が山木八十八だったりなのでやっと変だと思った。この著者は私と年齢が近いのであるが、やたら戦闘機に詳しい。パイロットか戦闘機作った人並みに詳しい。よほど勉強しないとあれだけの空戦の様子は描けない。文庫本で上中下なので結構読み応えがある。読み物としては大変に面白い。太平洋戦争当時の空戦や戦闘機やそういうものが好きな人にはお勧めの本だ。 硫黄島の手紙:うーーーーん。10代、20代、30代が見るべき映画。高齢層が多かったが、逆だね。若い奴ほど見るべきであって、高齢層は隣の007を見なきゃいかんとね。
「奪われる日本」関岡英之ー講談社。700円だから高くない。最初は読み出してもあまり面白くなかった。その内次第に面白くなってきた。終わってみたら、読後どう思おうと日本人ならばいちおう読んでおくべきだと思ったね。小泉ー竹中批判なのだが、日本がアメリカの属国になっていく様が描かれている。私の知らなかった事も多く、全ての論調に賛同しているわけでもないが、十分にありうることだと思うし、知識として知っておくべきだと思う。著者はアメリカに暗殺されるか、襲われるかもね、と思った。これがロシアについて書かれていたら、彼は今頃毒殺であろう。一番印象に残ったのは保険業界と法曹界だね。保険はアメリカの保険会社、つまりアリコを筆頭とする保険会社のロビー活動の凄さ、米政権への食い込みに驚いた。郵政民営化も郵便などどうでもよく、本丸は簡保潰し。アリコのCMなんて白々しくて見る気がなくなるね。法曹界は現在の日本の司法改革はアメリカの圧力で進んでいること。日本のような大国が弁護士不要という点をついてきた。アメリカのありあまる弁護士やローファームのビジネス拡大戦略にとって日本市場ほどおいしいところはないそうである。ってなわけだ。一読を勧める。 マイブック:新潮社刊。ラジオで取り上げられていたのですぐに買ってしまった。隠れたベストセラーらしく、毎年40万部売れているのだそうだ。表紙に2007年の記録と書いてある。手帳である。文庫本である。中には日付のみ書かれていて、後は全て空白。そこに自分で手帳なり日記なりにして好きに書いてくれというものだ。340円。外から見ると普通の文庫本だ。毎年11月になると発売される。高校時代、国語は学校で一番だった私もパソコンの発達に伴い、漢字執筆能力などに著しい退化現象が見られ、ペンでものを書くこともなくなってしまった。ペンでものを書くのがなつかしくなってしまうという時代が到来するとは予想だにしなかったね。
硫黄島 硫黄島:クリントイーストウッドですっかり有名になってしまったね。どこにあるのか聞かれて教える事が多い。たいした島ではないのだが戦略的拠点だからね。サイパンが絶対国防圏だったのもわかる。あの映画ふたつの間を縫って、テレビドラマの硫黄島、戦場の郵便配達が放映されたので見た。批評欄でセットと戦闘場面があまりにお粗末なのがもったいないと書いてあったが本当だった。ウルトラマンの頃の映像的だったね。それ以外はいい出来だったと思う。

日本の若者は、いまや学校で世界史や日本史を教えてもらえないそうだから、こんな機会に当時の事を知るのは良いと思う。別におじさん世代も歴史の教科書は明治ごろまでは一生懸命学ばされるが、昭和時代は、最後の授業の一回で終わりだったから、皆あまり知らないよ。私は思うのだよ。硫黄島にしても、サイパンにしても沖縄の戦いにしても、あんな状況で戦争を中止できなかった政府と軍部の中枢の能力をね。個人個人の上層部はそれなりの人たちだったのかも知れないけど、組織となるとどうして英断できなかったのかと思うね。沖縄や硫黄島などでの犠牲の多さに米政府は相当にショックを受けたようで本土進攻に慎重になり、原爆使用に踏み切ったという説もあるくらいだ。飛行機もパイロットも空母もないのに戦争継続するのは、もう日本全体、政府全体、軍部全体が麻痺か狂っていたんだろうね。そういうわけだから、政府なんてものは私は信用しないんだよ。
お客さんが「紫電改」のビデオを送ってくれたので見ていた。そう、戦争末期の19年12月に完成した日本最優秀と言われる海軍戦闘機。今の新明和工業が作ったものだ。やっとこの飛行機の設計で初めて米軍飛行機並みにパイロット席の防護を頑丈にしたものだ。米軍にとってもこの飛行機には驚いたらしいよ。ゼロ戦はもうやられていたからね。初戦は呉空襲の編隊に松山203空として飛び立ち、被害17機、撃墜57機という戦果をあげてグラマンが負けたと言う代物。だが、出現が遅すぎて生産はたったの400機。えりすぐりの最後の優秀パイロットを集めて編隊を組んだが、パイロットの命を粗末にしてきた咎めが出て、120人だけ。最後の出撃は昭和20年7月24日で九州。B29編隊500機に対して、最後の20機で突っ込んでいった。日本に現存するのは引き揚げられた愛媛の一機。後2機は米軍の博物館。私にとってこの戦闘機がなつかしいのは、昔のちばてつやの漫画、紫電改のタカ、を覚えているからだ。

紫電改のタカ(ちばてつや)
戦争末期、日本海軍が本土防衛に投入した局地戦闘機「紫電改」。かつて少年たちは、この戦記漫画によってその名を記憶したものだった。“逆タカ戦法”の滝城太郎を主人公とする少年飛行兵たちと、物量で圧倒する米軍との戦い。1963年7月から65年1月まで「週刊少年マガジン」に掲載された。

「源田サーカス」の異名を取り、真珠湾攻撃の作戦参謀だった源田実大佐(1904〜89)を司令とする部隊がモデル。しかし好敵手の米パイロットと心を通わせたり、サーカス顔負けの操縦で死地を脱したりと、夢のような物語でもあった。戦局が窮迫し、特攻隊員にされると知った滝は「おれたちは爆弾じゃないんだ。命を持った人間なんだ」と怒りをぶちまける。だが平和への希望を振り捨て、仲間たちと出撃していく

黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて 「黒澤明VS,ハリウッド」
うーーーむ。なかなかの名著だったぞなもし。最初はあまり読んでいてもそれほど面白くなかったのだが、ページが進むにつれ読み応えが出てくる本だ。日米の映画文化の違いというよりも、日米の文化比較論と言ったほうが良さそうだ。黒澤監督がどうしてトラトラトラの監督から解任されたのかという観点から、日米の契約社会の違い、情報の違い、組織の違いなどが触れられている。2500円とえらく高い本なのだが、図書館で借りても良いと思う。ってなわけで久しぶりに読み応えのある本に出会った。
灰谷健次郎氏が亡くなったね。大変に苦労して大学を出て教師になった人であるが、1974年発表の「兎の眼」はいたく感動して、銀行時代に部下たちに回し読み的に貸した。「太陽の子」「天の瞳」も良いが、「兎の眼」はダントツである。今の子供たちは読むべきだし、今のすっかり激変してしまった日本社会と日本人は皆読むべき必読の本だと思う。32年たった今でもあの本は金字塔である。
アメリカのやり方(東洋出版):以前お客さんから頂戴した本なんだけど、すーーごく面白いよ。アメリカの素顔って感じで漫画で表現している。アメリカの事を知っている人も知らない人も楽しめる内容だね。厚くないのに1200円だが、決して高いとは思えない。是非とも一読を勧める。やっぱりアメリカは9−11からすっかり変わってしまったと思う。私ですら、あまり行きたくないもの。 失敗の本質
日本海軍の研究が好きだった私は、その当時から、たくさんの太平洋戦争の本を読んでいた。学生時代の日米関係を意識した日々の経験がそうさせたのだろう。ほとんどのその類の本は読んでしまったので、もう読む本はほとんどない。戦国時代の信長の頃の本もほとんど読んでしまっているが、これも相場の仕事が戦いの仕事ということが本質的にあり、戦略や、機略を練るのに、戦国時代の武将の考え方がきわめて役に立った。と言うか、役に立てようと思っていた。
スイス銀行の副支店長の浜田さんまで私を説教するのにビルマ戦線の戦いの経過などを例えにするものだから戦記物は私とはきってもきれないものなのだ。若いデイラーの人は戦略思考ができるようになるから、読書だけはした方が良い。勧める本として一番の名著は、「失敗の本質」だろう。この本の内容についていろいろ書いても良いのであるが、やはり自分で読んでもらったほうが良い。私は赤線まで引いて4度読み直したくらいである

「シルミド」という韓国映画を以前見たが、なかなか見ごたえのある映画だったね。朴大統領が金日成暗殺を目的とした特殊部隊だけど、朴大統領ならやるかもね、っていう感じがした。部隊は31人だが、刑務所にいる連中を徹底的に仕込んでいたね。訓練が3年4ヶ月というのだから半端じゃない。あまりの過酷な扱いに、ソウルに抗議に行ったが、全員射殺か死刑というすさまじいものだった。スパルタ式訓練のすごさに目を見張ったが、1968年当時の話だ。全てが明るみに出て映画が製作されたということだが、映画としても一級品だったと思うよ。

千円札は拾うな:著者: 安田 佳生

一時売れた本だと思う。友人が読んでみてくれと言うので読んだ。なかなか良い。経営者も当然ながら若い奴も読むと良い。発想の転換が図れると思う。サンマーク出版というところが出している。

この国のけじめ:文芸春秋。
お馴染みの今はやりの藤原氏の第二弾だね。特筆はないが、それなりに読むべき書物と思われる。前著よりもくだけていて読みやすいと思う。我々が知っておくべき常識的な事がちりばめられており、1250円でそれを学べるなら安いと思う。
国家の品格
ご存知のベストセラーだ。著者は新田次郎の息子だったので入りやすかった。新田次郎の小説は結構読んだからね。武士道ブームになってきているようだが、なかなか良いではないか。新渡戸稲造の武士道は確か若い頃読んだ記憶がある。葉隠れの本はあまり面白くなかったが武士道はそれなりだった。映画「ラストサムライ」のまんまでいいんじゃないの?読んでない人は読むといい。日本民族の誇りを持てるようになるだろう。そして、日本文化の継承の重要さも知るだろう。小中高の生徒に読ませたら?確かに著者の言うとおりだね。学校で株式投資なんか教える必要ないよ。ガキの時から金金金でどうすんの?
県庁の星」たくさんの人が見たと思うけど、あれいい映画だったねえ。日本人、つまり、役人たちであるが、あのようになったら、日本もずいぶん良い国になるのではないかと思わせてくれたね。伊丹監督のノリの映画だった感じがする。久しぶりに、いい日本映画を見せてもらった気がする。役人諸君には、大いなるプライドと本来の目的意識をもって頑張って頂きたい。 「坂の上の雲」と日本人
男が読むと大変に面白く、女が読むと20ページでさじを投げる本と言えよう。日露戦争当時の日本軍は世界の軍隊の鏡だったようで、日本男子はなかなか誇らしく読める。坂の上の雲を不滅の国民文学と書いているが、私もそう思うね。日本の高校生男子は国が命令して読ませるべしなどと思わせる名著だね。この解説書みたいな本は、最初はつまらない。後から面白くなってくる。当時、イギリス海軍が世界一だったのだが、ロシアは世界二位だったんだね。ただ、ロシアは戦艦の数に比較して、バルト海、日本海ー黄海、黒海と三分割されていたので兵力の分散になっていたようだ。これが日本には幸いするんだけどね。イギリスも世界の艦隊だから、分散されており、日英同盟が極めて大きな役割を果たしているのがわかる。
「菊とバット」ロバートホワイティング著
77年の同著の完全版とはなっているが、実際にはそのままプラス多少追加という感じだ。77年はディーラー2年生だったからわからなかったが、今回読んでみて、日本からディーラーが輩出しない理由がよくわかった。日本の金融機関に勤める者は必ず読むべきものだと思う。いろいろな答えが日本の昔の野球に現れている。この著者が「東京アンダーワールド」の著者とは気がつかなかった。この本が面白いはずである。
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
筑豊での少年時代から、上京、東京生活、母の闘病、そしてー。
「en-taxi」で創刊時より連載していた、「東京タワー」がついに単行本化。装丁、写真、イラストレーションなどすべて自身で行った、初の長編小説。読んだ誰もがひとりでも多くの人に読んでほしいと心から願う一冊です。

このように書かれている。本屋で積んであって、ベストセラーだというので買って読んだ。著者の名前は聞いたような聞かなかったようなってとこ。なかなか良かったよ。ベストセラーみたいのはいまいちのが多いのだが、良かったと思う。母との情愛を描いたものだが泣けてしまう人も多いらしい。まあ、良い本だから親不孝している人は読みなさい。
「竜馬が行く 1-8」 (司馬遼太郎)
坂本竜馬:何だか昔から有名だったと思ったのだが、どうも違うようだ。何でも日本海海戦に連合艦隊が出航した日、明治天皇の奥さんが夢を見たんだそうだ。坂本竜馬が自分が創建した日本海軍を護るといって、あらわれた。宮内省は、伏見の寺田屋の主人が大阪にいることをつきとめ、宿にあった竜馬の手紙をゲットして、上奏したそうだ。坂本竜馬が有名になったのはこの時からなんだって。国民的英雄になったのは、司馬遼太郎の「竜馬が行く」が発表されてからなんだそうである。竜馬が行く、あの本、いいよねえ。男子であの本読んでいない人いるのかね??

戦争経済〈ウォー・エコノミー〉に突入する日本―見せかけの「景気回復」の陰で国が企んでいること

今まで気にもしなかった副島隆彦氏の書いた本、見せ掛けの景気回復の陰で国が企んでいること、世界同時株安から統制経済へ、75年前の戦前と現在の驚くべき符合とは?などに興味をそそられる。ありうると今は思っている。

重臣たちの昭和史 アキの戦争シリーズ

アキの戦争シリーズ

読売新聞戦争責任検証委員会

「よく見る夢」 (上)
例のシドニーシェルダン。彼の小説は面白く一気に読み終わらせてくれる。ダラダラと読み続けないとならない宮部文学とはまた一味違う。シェルダンの本は面白い代わりにあまり頭には残らない事が多い。だがこの小説は頭にこびりついてしまった。多重人格、言葉を変えると悪霊、って世界の話だけど、何がすごいって、最後の1ページがさりげなく大逆転だからだ。いやあ、このシドニーシェルダンと言う人はすごいね。脱帽だ。
「よく見る夢」 (下)
例のシドニーシェルダン。彼の小説は面白く一気に読み終わらせてくれる。ダラダラと読み続けないとならない宮部文学とはまた一味違う。シェルダンの本は面白い代わりにあまり頭には残らない事が多い。だがこの小説は頭にこびりついてしまった。多重人格、言葉を変えると悪霊、って世界の話だけど、何がすごいって、最後の1ページがさりげなく大逆転だからだ。いやあ、このシドニーシェルダンと言う人はすごいね。脱帽だ。
ポールニューマンが引退したけど、彼はいいよね。彼の作品の多くを観て来ている。典型的なアメリカ人だと思うな。以下が彼の出演作。
やはり私が大好きなのは『スティング』と『明日に向かって撃て』 だなあ。明日に向かって撃てなんてあまりにも感動したから、アメリカ横断している時、わざわざワイオミングに立ち寄ったものね。
「ベスト&ブライテスト(上・中・下)」:良い本だよ。今アメリカがイラクでやっていることを比較して読むとこの昔のベトナム戦争当時の米政府の中枢を批判したノンフィクションはすごく面白いかも知れないね。誰が書いたかわからないけどネットに出ていたものを下に掲載。著作権違反?だって、誰が書いたのかわからんのだよ、検索したら出てきたものだし。どうも書評みたいだなあ。

アメリカの著名なジャーナリストであるD・ハルバースタムが記したベトナム戦争に関する良質なノン・フィクション。『輝ける人々Best&Brightest)がなぜベトナムの泥沼に嵌っていったか』を膨大なインタビュー取材を元に、克明に描き出した作品です。アメリカという国の政治というものがどういった人々によって担われているのか、どういった価値観の中で動いているのか。時代は変わっても変わらずに残っているアメリカの姿がここにはあるように思います。ここに語られるのは『間違った人々』の物語でもあるわけですが、その間違いを断罪しようとするのでは無く、ただ事実を積み重ねることで何かを語ろうとする著者の視点の置き方が、非常に好ましく、また他人に対して口を開く際の一番フェアな立ち位置なのだと思っています。(ジャーナリズムの仕事として最上のものと言って良いでしょう。)現在入手できるのは、3分冊で出版されている朝日文庫版ですが、できれば、倒産してしまったサイマル出版会版を図書館とかで読んで頂きたいなと。本文は朝日文庫版と変わりませんが、序文として「娘への手紙」という短い一文があり、これも一読する価値があると思いますので。D・ハルバースタムは他にもたくさん著書がありますが、どれも素晴しく、尊敬するジャーナリストの一人ですね。

私も全く同感なのである。絶対にお勧めだね。惜しい人が亡くなったね。交通事故とはね。